(55才左肩、65才右肩。いずれも3ヶ月ほどで軽快)

五十肩と六十肩
⑥
帯状疱疹(左臀部)

(60才、仙骨神経障害による一過性の膀胱直腸障害あり)

⑤

(50才、膀胱尿管移行部に3ミリの結石)

尿管結石(右側)
④

(36才)

抗生物質による出血性大腸炎
③

肺炎は65才から死因の第4位に顔を出し、、80才以上になると死因の第3位となる。肺炎で死亡する人の97%は65才以上である。

私の場合は宮崎大学第一内科医局を退局し、西都市の実家の病院(大塚病院)に勤務した1年目の冬に肺炎に罹患した。個人病院で入院患者10数名を受け持ち、外来診察も毎日で休む暇が無かったのが肺炎を起こした大きな要因であった。

休む暇が無かったので、感冒から細菌性肺炎を惹起した。(起因菌はありふれた肺炎球菌であった。)肺炎は自分が罹患してみるとかなりきつい。病院から自宅に抗生物質の点滴セットを持ってきてもらい自分で肘静脈に点滴した。自分で肩に抗生物質の筋注をしたこともある。筋注の方が少々打つには勇気がいる。

170cm、体重53キロと元来痩せ気味であったが、5キロ減の48キロまで体重が減少した。

余談だが抗生物質によっては投与後お酒を分解する酵素を阻害して酒に弱くなることがある(アンタビュース作用と呼ぶ)。肺炎治癒後に日本酒を御猪口で少し口に含んだだけで、顔が真っ赤になって動悸がした。酒に弱い人の気持ちが良くわかった。


(35才、右上葉の大葉性肺炎)

肺炎
②
自己紹介
自費出版本
私の趣味他
トップ

肺炎に罹患した翌年には感冒罹患後喀痰が多く、肺炎を起こしたらいけないと考え抗生物質の点滴投与をした。これが裏目に出て今度は重篤な出血性大腸炎を引き起こした。抗生物質は正常な大腸菌を攻撃するのでクロストリジウムなどの細菌による偽膜性腸炎などもある(菌交代現象)。私の場合は大腸カメラによる確認はしていないが、投与後比較的早い段階で5~10分毎に出血が起こったことから出血性大腸炎だったと考える。腸粘膜のびらん、或いは小潰瘍が多発していたはずである。数日間にわたって出血は続いた。トイレに行ってもすぐに腹痛が起こり便器は真っ赤になった。幸い輸血をするほどでは無かったが大変だった。この時も自宅に点滴セットを病院から持ってきてもらい、補液を行った。点滴スタンドを持ってトイレに行っていた事を子供は今でも覚えているらしく、先日もこの話をしたら記憶にあるとの事だった。

五十肩はもちろん医学的には正式名称では無い。肩関節周囲炎と言うことになる。肩関節付近の腱、関節包などが一過性に炎症で癒着するのが原因である。御丁寧につい最近左肩も上がらなくて難渋した。

スポーツをする人は腱の断裂などが原因となることもあるのでMRIが必要なこともある。私は最近特に激しいスポーツもしていないので(以前はスイミングスクールに通っていたが)、その可能性は低いと考え検査はしなかった。固縮して動かない時期には無理して動かす必要は無い。少し肩が動くようになれば反対側の腕で肩を少しずつ動かすと良い。ヒアルロン酸局注やステロイド局注もあるが私の場合には余り有効では無かった。自然経過で直るので気長に養生する事である。
帯状疱疹は希な病気ではないが私の場合は左臀部に出現し、仙骨神経(第2~4仙骨神経)領域であったため、一過性の膀胱直腸障害が出現し、結構難渋した。最初の自覚症状は陰茎痛であった。特に陰茎先端内部粘膜痛のような感じであったので前立腺炎かと当初は考えた。男性は膀胱炎は尿道が長いので滅多に起こさない。前立腺炎も前立腺肥大が無ければ起こりにくいが否定は出来ないのでとりあえず抗生物質を服用した。その後、肛門部の痛みが出現した。数日後に左臀部の違和感があり、触ってみると皮疹があり一部水疱が見られた。「しまった!帯状疱疹か!」と気づいた時は既に抗ウイルス薬の有効な期間を過ぎていた。しばらく尿意があっても尿が出ない、排便がしにくい、などの一過性の膀胱直腸障害が1週間ほど続いた。泌尿器科の先生に診察していただき、尿が出なければ導尿しましょう、という事であったが幸いそれはまぬがれることが出来た。ちなみに、その時に臀部帯状疱疹の写真も撮影したが、掲載すると皆さん気持ちが悪くなって不快に思うだけなのでやめておく。

医師は健康で無ければ仕事が出来ないが、余りに健康すぎても患者の気持ちが分からない。

その点、私は自然気胸、肺炎、尿管結石、帯状疱疹、抗生物質投与による重篤な出血性大腸炎などの病気に罹患してきたので、患者さんの気持ちが理解しやすい。

 また、15年ほど臨床を離れて生命保険会社の医師(社医と呼ばれるが)として勤務していたので、その間病院や医療について客観的に見る事が出来た事も良かったと感じる。 病気になると患者として病院を受診したが、病院の受付の対応、看護師や医師の対応などについて良く観察することが出来た。現在、臨床に戻って患者さんを診察しているが、不愉快な対応にならないように気をつけている。私自身の既往歴を紹介し、それらの病気についても解説を加える。

ウラジロガシ

尿管結石も、かなりつらい。胆石も大変だが(石の付く病気はきついが幸い胆石の経験は私は無い)。自宅で夕食を終えくつろいでいたら、背部の鈍痛を感じた。酒でも飲んで紛らわせようとしたが一時的には軽快するが、再び鈍痛が起こり次第に強くなってきた。これが間欠痛と呼ばれる痛みである。当然この時は確定診断が付いていないので自分では気づかなかった。間欠痛というのは尿管が周期的に収縮するため、その時に痛みが起こるという事である。次第に鈍痛が強くなり(内臓痛とはこの事か!と感じたが)、尿意があるのに尿が出なかった。救急車を呼ぼうかと思うくらいであったが、家内に以前勤務していた江南病院に連れて行ってもらった。腹部CTでは尿管が膀胱に入るところで3mm程度の結石を認めた。自然排石する程度の大きさであったが1日だけ入院。その後、自然排石した。

尿管結石はシュウ酸カルシウム結石が多い。ほうれん草などや青汁の成分にも多い。

尿管結石にはウラジロガシ(葉っぱの裏が白いのでこの名前が付いている)の成分が有効との文献があり(小さな結石の溶解作用と尿管拡張作用)お茶としても販売されている。私も、しばらく飲んでいたが余りおいしいものではない。

またこの成分が医薬品となっているのがウロカルンである。

ビタミンCを大量に摂取しても結石の原因となる。

自分の今迄の病気を振り返ってみて

こうして振り返ると幸い命に関わるような病気には罹患していないし、長期入院になることも無かった。ただ、結構既往歴としては多い。これらの病気に罹患したことで、気胸、肺炎、尿管結石、帯状疱疹、肩関節周囲炎の患者さんを診察する時に、「私も大変だったんですよ!」と苦痛を自分自身も感じた事を話す事で患者さんと気持ちを共有できる事は大きな意味を持つ。余り病弱すぎても駄目だが、病気はある程度罹患した方が医師としては患者さんの立場を理解しやすい。

その他30才頃には風疹にも罹患した。成人になってこのような病気になると大変である。40℃近い高熱が数日続き、解熱剤を服用してもすぐまた発熱する。幸い合併症も無くすんだ。風疹罹患前に薬疹様の患者さんを診察していたが、その患者さんが実は風疹であった。我々の小さい頃は風疹ワクチン接種が一般的で無かったことも一因であろう。

(25才の研修医1年目に罹患)

自然気胸
①
私自身の病歴(既往歴)

安静だけで経過を見ると、1回気胸を起こすと50%以上の確率で2回目の気胸を起こす。私もよく考えてみれば医学部学生時代に同様の胸痛があったので2回起こしたはず。繰り返し気胸を起こす場合は最近は内視鏡的に嚢腫切除が出来るので手術を受ける事をお薦めする。

自然気胸は肺の嚢腫(のうしゅ)と呼ばれる小さな袋が破れるため起こる。症状は胸痛や背部痛ということになる。私の場合は鎖骨下付近まで肺がしぼんだ。軽度であれば呼吸困難は無い。

若い痩せた男性が気胸を起こしやすい、という事で嚢腫(英語はブレブ;bleb)が若い男性に出来やすいのか文献を調べても記載が無い。今後文献を見つけたら記載する。尚、ネットを見ると気胸の原因でのう胞が破れるためと記載してあるのを見かけるが、正確には嚢腫が正しい。

病気の解説